Designing the DONQ Experience 全国の店頭に、焼きたてのおいしさとドンクらしさを届ける。
粉から生地を仕込み、焼き上げる「スクラッチ製法」を大切にしてきたベーカリー、ドンク。職人が手間をかけて生み出すパンの魅力を、店頭でも一貫して伝えるために。TIDE DESIGNは、全国約113店舗を対象とした店舗ブランディングを、約2年間にわたり総合ディレクションしました。店頭サイン、POP、イベントポスター、プライスカードから陳列ルールまで、お客様とパンが出会う場所のコミュニケーションを整えるプロジェクトです。
背景にあったのは、店舗ごとに販促物や情報の見せ方が異なり、パンのおいしさやブランドの価値が十分に伝わりにくいという課題でした。一つひとつのツールが役割を果たしていても、売場全体で見ると、伝えたいことが揃わない。私たちは、ドンクが大切にしているパンづくりと、店頭でお客様が受け取る印象をつなぐことを、デザインの出発点に据えました。
目指したのは、焼きたてのパンそのものに自然と目が向き、選ぶ楽しさが広がる売場です。サインやPOP、プライスカードを共通の考え方で設計し、商品を伝える情報と、ブランドを伝える表現の関係を整理。イベントポスターなどの販促ツールも含めて、個々の制作物を売場全体の中で捉え直しました。どの店舗でも「ドンクらしさ」を感じられることと、目の前のパンの魅力が伝わること。その両立を重視しています。
デザインの決定に至る過程では、ドンクの社長へのプレゼンテーションも経て、最終的な表現を導き出しました。全国の店舗へ展開する表現だからこそ、見た目の印象に加え、ブランドとして何を大切にし、どのような体験を届けたいのかを明確にする。その考え方を軸に、店頭の具体的な表現と運用の仕組みを組み立てていきました。
制作では、店舗でのモックアップ検証を通じて、デザインが実際の売場でどのように機能するかを確認しました。画面や紙面で成立する表現も、パンが並び、複数の販促物が置かれる空間では受け取られ方が変わります。ツール単体の完成度と、売場全体としてのまとまりを行き来しながら検証。陳列ルールも含め、お客様が商品に出会う場面を基準に、デザインと運用の両面を整えました。
さらに、日々の売場づくりを担うスタッフとともに、マニュアルの精度を高めていきました。全国の店舗で継続して使うためには、判断の基準が共有され、現場で理解しやすい形になっていることが欠かせません。制作したツールをどう扱い、どう展開するかまでを整理し、日常の業務の中で「ドンクらしさ」を保てるよう、運用ルールを再構築しました。
パンのおいしさを写真でも伝えられるよう、スタッフに向けたシズル撮影のレクチャーも実施。焼き色や質感など、パンが持つ魅力を捉える視点を共有しました。ツールのデザインとあわせて、それを使い、発信する人にも表現の考え方を伝えることで、店舗でのコミュニケーションを支える土台をつくりました。
約2年間を通じて取り組んだのは、パンづくりに込められた価値を、全国の店頭で伝え続けるための仕組みづくりです。ブランドの考え方を視覚表現へ、視覚表現を現場の日々の運用へとつなぐ。ドンクの店舗ブランディングは、そのつながりを一つひとつ整えることで、焼きたてのおいしさが伝わるブランド体験を目指したプロジェクトです。









