Everyday comfort, crafted as a café. 日常に寄り添うCoffee×Wood
家具をつくることは、暮らしをつくること。その想いを大切に歩み続けてきた SOUI WOOD WORKS が、新たな表現の場として生み出したtasunuts。木の家具とそこに寄り添うコーヒー、選び抜かれた雑貨や器。タイドデザインはそのリブランディングを担当。ロゴマークをはじめ、カップ、ショップカード、メニュー、パッケージなど、ブランドに触れるすべてのツールをリデザインしました。目指したのは「見た目を整えること」ではなく、訪れる人が過ごす時間に、新しい価値を生み出すこと。その変化を最も近くで感じてきたお三方にお話を伺いました。
SOUI WOOD WORKS 代表:神保さん
「ブランドとは、毎日の積み重ねが少しずつ形になっていくもの。」家具をつくる仕事を始めてからずっと、「長く使われるもの」をつくりたいと思ってきました。流行に左右されるものではなく、十年後も二十年後も暮らしの中に自然と残っているもの。家具を見に来た方がゆっくりコーヒーを飲める場所であり、暮らしのヒントが見つかる場所になればいい。そんな想いから少しずつ育ってきたブランドでした。だからこそ、ブランドとして一歩先へ進むタイミングで、表面的なデザイン変更では意味がないと思っていました。
打ち合わせでは、デザインの話よりも、お客様との会話や家具づくりへの想い、コーヒーを提供する理由など、本当にたくさんの話をしました。私たちが大切にしてきた価値観を丁寧に掘り下げながら、一つずつブランドの輪郭を見つけていく。そのプロセスがとても大切な時間だったと思います。完成したロゴを見たとき、「これだ」と自然に思えました。派手ではない。でも静かな存在感がある。家具もそうですが、本当に長く使われるものは決して自己主張が強すぎない。その考え方がロゴにも表れていて、以前からあったような不思議な安心感がありました。
ロゴが決まるとブランドが一つにつながり始めました。ドリップパックやコーヒーカップ、メニュー、ショップカードなど。単体では小さなツールですが、すべてに同じ思想が宿ることで、お客様への印象も大きく変わったように感じます。特にスタッフの似顔絵を描いたショップカードはとても気に入っています。初めて来られたお客様でも「この人が淹れてくれるんですね」と自然に会話が始まる。デザインが人と人をつないでくれる瞬間を何度も見ることができました。ブランドとは企業が発信するものではなく、人との関係の中で少しずつ育っていくものなのだと、改めて実感しています。
tasunutsでは、家具も、コーヒーも、雑貨も、それぞれ違う商品を扱っています。でも本当に届けたいのは「暮らしを楽しむ時間」です。その時間をロゴやデザインが静かに支えてくれる存在になったことが、今回一番うれしかったことですね。デザインは完成した瞬間がゴールではありません。毎日の営業の中で少しずつ馴染み、お客様との思い出を重ねながら、そのブランドらしさは育っていくものだと思います。家具に年輪が刻まれていくように、tasunutsというブランドも、これから何年もかけて少しずつ深みを増していく。その未来が今からとても楽しみです。
tasunuts Cafe:坂田さん
「一杯のコーヒーを淹れる時間までブランドになる」私は一杯ずつハンドドリップでコーヒーを淹れています。同じ豆を使っていても、その日の気温や湿度、お客様との会話によって少しずつ淹れ方が変わるんです。だからコーヒーはレシピだけではなく、その時間ごとに完成するものだと思っています。ブランドが新しくなると聞いたとき、最初はロゴやカップが変わるくらいのイメージでした。でも実際に完成したものを使い始めると、カップを持つ手の動きやお客様へお渡しする瞬間まで自然と丁寧になっていたんです。
以前より、お客様がカップをじっくり眺めたり、メニューをゆっくり読んだり、ドリップパックを手に取って質問してくださる時間が増えました。「このロゴ、かわいいですね」「ショップカードのイラストは坂田さんですか?」そんな何気ない会話が自然に生まれるようになったことが、とても印象に残っています。特に似顔絵入りのショップカードは、お客様との距離を縮めてくれる存在になりました。「また坂田さんのコーヒーを飲みに来ました」と言っていただけることも増えて、本当にうれしいですね。
私たちはコーヒーを売っているようでいて、本当はこの場所で過ごす時間を提供しているのだと思います。その時間をデザインがやさしく支えてくれている。そう感じる場面が、リブランディング以降、本当に増えました。以前よりも、一杯のコーヒーに込める気持ちが自然と大きくなった気がします。お客様にとって「また来たい」と思える理由は、味だけではありません。空間や人との会話、カップの手触りや、何気なく持ち帰ったショップカードまで、そのすべてが記憶として残っていく。ブランドとは、その積み重ねなのだと、毎日カウンターに立ちながら実感しています。
tasunuts Shop:長谷川さん
「”このお店らしい”を、お客様に持ち帰っていただくために。」私はショップで、アパレルや陶器、ステーショナリーなどをご案内しています。tasunutsには本当にさまざまな商品がありますが、どれも単に「かわいいもの」や「おしゃれなもの」を集めているわけではありません。作り手の想いや背景があり、毎日の暮らしを少しだけ豊かにしてくれるものを、一つひとつ選んでいます。だからこそ、以前から「商品同士の魅力をもっと自然につなげられたらいいな」と感じていました。
リブランディングが始まり、ロゴやショップツールが完成したとき、その感覚が一気につながりました。ロゴが変わっただけなのに、不思議なくらい商品がきれいに見えるようになったんです。新しいショップカードやパッケージ、ドリップパック、メニューなど、すべてのデザインに共通する空気感があることで、店内に並ぶ商品まで一つの世界観の中に溶け込んで見えるようになりました。ブランドの軸ができたことで、商品の魅力だけではなく、その先にある暮らしまでお話しできるようになったと感じています。
私が特に好きなのは、それぞれの似顔絵が描かれたショップカードです。ご来店された方でも「このイラストの方が長谷川さんですか?」と声を掛けてくださることがあり、その一言から会話が始まります。商品を販売するだけではなく、お客様との距離が少し近づくきっかけをデザインがつくってくれる。それは接客をする私たちにとって、とても大きな存在です。「袋までかわいいですね」「カードも記念に取っておきます」と言っていただくことも増えました。お店を出たあともtasunutsを思い出していただける。その余韻まで含めてブランドなんだと改めて感じています。
tasunutsという場所には家具を探しに来られる方もいれば、コーヒーを飲みに来られる方、雑貨との出会いを楽しみに来られる方もいます。目的は違っても、「なんだか心地いい」と感じてもらえる空気は共通していてほしい。その空気をつくるために、デザインは決して目立ち過ぎることなく、静かに寄り添ってくれています。ブランドとはロゴでも商品でもありません。ここで過ごした時間やスタッフとの会話、自宅へ持ち帰った器やコーヒーを使う何気ない日常まで含めて、一つの体験になるものだと思います。今回のリブランディングを通して、tasunutsは「モノを販売する場所」から、「暮らしを提案するブランド」へと一歩大きく成長できたように感じています。
暮らしの中に、静かに残り続けるデザイン。今回のリブランディングを通して、タイドデザインが目指したのは、新しいロゴをつくることでも、ブランドイメージを一新することでもありませんでした。神保さんが語った「長く愛されるブランドを育てたい」という想い。坂田さんが毎日のハンドドリップに込める丁寧な所作。長谷川さんがお客様との会話を通して届ける、暮らしの豊かさ。それぞれ異なる役割を担う三人の言葉には、一つの共通した想いが流れていました。
ブランドとは、企業が一方的に発信するものではありません。訪れる人がコーヒーを味わい、家具に触れ、器を選び、スタッフと会話を交わし、自宅へ帰ってからもその余韻を思い出す。その一つひとつの体験が積み重なることで、初めてブランドは育っていきます。家具に刻まれる年輪のように、人の記憶にも少しずつ時間が積み重なっていく。その中心には、いつも何気なく目にするロゴがあり、手に取るカップがあり、一枚のショップカードがあります。派手に主張することなく、それでいて確かな存在として、人と場所、人と人を静かにつないでいく。それこそが、tasunutsというブランドの本質なのかもしれません。
私たちタイドデザインは、この場所に流れる穏やかな時間と、人を想うものづくりの姿勢に深く共感しながら、一つひとつのデザインを形にしてきました。これから先、家具が使い込まれて味わいを増していくように、tasunutsというブランドも、訪れる人との出会いを重ねながら少しずつ育ち続けていくでしょう。その歩みのそばで、デザインもまた、静かに歳月を重ねていけたら。それが私たちタイドデザインにとって、このプロジェクトで何より大切にしたかったことです。








