Designing Curiosity to Learn 探究する力を育む、中学校 科学 教科書
学校図書が発刊する中学校3学年の科学教科書のアートディレクションおよびデザインを、TIDE DESIGNが担当しました。本プロジェクトは、単に知識を正しく伝えるための教科書づくりではありませんでした。私たちが編集チームの皆さまと目指したのは、「答えを覚える教科書」ではなく、「問いを見つけ、自ら探究したくなる教科書」をつくること。科学本来の魅力である“未知への好奇心”や“発見する喜び”を、一冊一冊のデザインに落とし込むことがテーマでした。
プロジェクトは約3年にわたる長期制作となり、編集者の皆さまと何度もディスカッションを重ねながら、理科教育におけるデザインの役割を徹底的に考え続けました。教科書は、毎日手に取る最も身近な学びのツールです。だからこそ、「分かりやすい」だけではなく、「もっと知りたい」「自分で調べてみたい」という気持ちを自然と引き出せる存在であるべきだと考えました。
特に時間をかけたのが表紙デザインです。従来の教科書らしい表現だけにとらわれず、現在の中学生が感じる未来への期待や知的好奇心をどのように表現すれば手に取りたくなる一冊になるのかを、多角的な視点から検証しました。色彩、モチーフ、構図、タイポグラフィなど、あらゆる可能性を試しながら、制作したデザイン案は延べ100案近くに及びます。その膨大な試行錯誤の積み重ねによって、学びへの入口となる現在のデザインへとたどり着きました。
中面では、文字を読むことだけに頼らず、情報を「見て理解できる」構成を重視しました。文章量をできる限り整理し、インフォグラフィックやイラストを効果的に活用することで、複雑な科学現象や実験の流れを直感的に理解できる紙面を設計。情報を詰め込むのではなく、本当に必要な情報だけを整理し、思考の流れが自然につながるレイアウトを追求しています。教科書は、多くの生徒にとって科学との最初の出会いの場でもあります。その一冊が「覚えるための本」ではなく、「知ることが楽しい」と感じられるきっかけになってほしい。そんな想いをデザインに込めました。
完成した教科書は、編集・制作に携わったプロジェクトメンバーの皆さまからも高い評価をいただき、デザインが学びの質や探究する姿勢に貢献できることを改めて実感したプロジェクトとなりました。私たちはこれからも、情報を美しく整理するだけでなく、人の知的好奇心を育み、新しい発見へと導くコミュニケーションデザインを目指していきます。








