One Team, One City. 街がひとつになる、その熱狂をデザインする。
4年に一度、世界中がひとつになるラグビーワールドカップ。国境を越えて集まった選手たちが全力でぶつかり合い、スタンドを埋め尽くす観客が声を重ね、開催都市そのものがひとつの大きな舞台となる──。その特別な時間を支える関連プロジェクトにおいて、タイドデザインは横浜市とともに、各種ビジュアルコミュニケーションの企画・アートディレクション・デザインを担当しました。私たちが目指したのは、試合結果や大会情報を伝えるだけのデザインではありません。
ラグビーというスポーツが持つ「仲間を信じる力」「相手を敬う精神」、そして街全体を包み込む熱狂や高揚感までも、一枚のビジュアルの中に映し出すことでした。ラグビーは、ボールを前に投げることができない競技です。だからこそ選手たちは、自分の身体を張り、仲間へ想いをつなぎながら前へ進みます。激しいタックルやスクラムの裏側には、互いを信頼し、支え合う姿があります。その姿は、競技の枠を超え、多くの人の心を動かすラグビーならではの美しさでもあります。
デザインでは、その躍動感をダイナミックな構図や大胆なタイポグラフィで表現すると同時に、選手一人ひとりの表情や視線、身体の動きまで丁寧に捉え、スタジアムで感じる緊張感や歓声がそのまま伝わるようなビジュアルを目指しました。力強いカラーリングとスピード感のあるグラフィックを組み合わせることで、試合開始前の期待感から、勝利の歓喜、敗者を称える静かな瞬間まで、ラグビーが持つさまざまな感情をひとつの世界観として構築しています。しかし、大会をつくっているのは選手だけではありません。
数え切れないほどの大会スタッフやボランティア、運営関係者、警備、交通、清掃、医療など、多くの人々がそれぞれの持ち場で世界最高峰の舞台を支えています。私たちは、その見えない努力にも敬意を払い、開催都市・横浜全体が「チーム」として大会を迎える空気感をデザインの中に取り入れました。街中に掲出されるビジュアルが、来場者を歓迎し、地域に暮らす人々の誇りにもつながる存在であってほしい──そんな想いを込めています。
また、世界中から訪れる多様な来場者に向けて、情報設計にも細心の配慮を行いました。言語や文化の違いを越えて直感的に伝わるレイアウト、視認性の高いタイポグラフィ、整理された情報構成によって、誰もが迷うことなく必要な情報へたどり着けるデザインを追求。感覚的な美しさだけではなく、公共性の高いコミュニケーションデザインとしての機能性も大切にしています。ラグビーには「ノーサイド」という美しい言葉があります。
試合が終われば敵味方の区別はなくなり、互いの健闘を称え合う。その精神は、世界中の人々を惹きつけるラグビー文化そのものです。私たちもまた、デザインを通して人と人をつなぎ、街と世界を結ぶコミュニケーションを生み出したいと考えました。勝敗だけでは語れない感動がある。ピッチの上だけではなく、スタンドにも、街にも、その熱狂は広がっていく。その瞬間を未来へ残すために、タイドデザインはビジュアルという形でラグビーワールドカップの記憶を刻みました。








