企業文化を、未来へ受け継ぐコミュニケーションデザイン

Beyond 30 Years 企業文化を、未来へ受け継ぐコミュニケーションデザイン

30年という時間は、企業にとって決してゴールではありません。積み重ねてきた歴史を見つめ直し、その先に続く未来への意思を共有するための、新たな出発点です。リユース業界のトップランナーとして歩み続けてきたトレジャー・ファクトリー。その30周年という大きな節目に、私たちタイドデザインは、30周年記念誌と社内報『Hakken!』のアートディレクション・デザインを担当しました。一見すると異なる役割を持つ二つの媒体。しかし私たちは、どちらも「企業文化を育て、未来へ受け継ぐコミュニケーションデザイン」であると考えました。

30周年記念誌は、これまで歩んできた歴史や理念を未来へ受け渡すブランドブック。一方、『Hakken!』は、社員一人ひとりの日々の挑戦や発見を積み重ね、企業文化を日常の中で育てていくメディアです。節目を語る一冊と、日々をつなぐ一冊。その二つが循環することで、企業の物語は過去の記録ではなく、未来へ続く文化として育まれていきます。今回の制作では、プロジェクトリーダーの内山さんをはじめ、編集を担当された定常さん、畠山さん、そして『Hakken!』をともに育ててこられた柳澤さんと何度も対話を重ねながら、「トレジャー・ファクトリーらしさ」とは何かを丁寧に紐解いていきました。

30周年誌では「30年間の歴史をまとめることが目的ではありませんでした。」そう静かに語る内山さんの言葉が、このプロジェクト全体の出発点となりました。「これまで積み重ねてきた歩みを社員一人ひとりが誇りに思い、その先の10年、20年を見据えられる一冊にしたかったんです。社外へ向けた会社紹介でもありながら、社内に向けた未来へのメッセージでもありました。」私たちも、その考え方に深く共感しました。記念誌は未来へのコンパスであり、『Hakken!』は日々の歩みを照らす灯火。

その両方があることで、企業文化は特別な日だけではなく、毎日の仕事の中で育ち続けていくのだと考えています。30周年誌の表紙を飾るのは、イラストレーター・宮内沙也加さんによる描き下ろし作品です。トレジャー・ファクトリーで働くスタッフをイメージした人物たちが、それぞれの持ち場で楽しそうに働く個性豊かなキャラクターが散りばめられ、人とモノ、人と人、そして時間が穏やかにつながる世界が描かれています。その温かな情景は、「価値をつなぐ」という企業理念を象徴する一枚となりました。

完成したイラストを初めて見た瞬間を、畠山さんは今でも鮮明に覚えていると話してくださいました。「未来への期待と、これまで支えてくださった方々への感謝。その両方が、一枚の絵の中に自然と存在していました。まさに30周年の象徴になる表紙だと感じました。」また柳澤さんも、『Hakken!』の制作を通じて、「表紙に描かれたスタッフ一人ひとりの姿を見て、自分たちらしさが自然に表現されていると感じました。社員のみんなが会社をもっと好きになれる、そんな入口になったと思います」と語ってくださいました。

私たちは、このビジュアルを起点に誌面全体を設計しました。ページをめくるたびに創業期の熱量が伝わり、事業の成長が見え、社員一人ひとりの挑戦や想いが浮かび上がるように。沿革や数字も単なる情報として並べるのではなく、インフォグラフィックや写真、余白、タイポグラフィを用いて、「読む」のではなく「体験する」冊子を目指しました。『Hakken!』でも同じ思想のもと、情報を届けるだけでなく、人と人をつなぎ、新たな発見や会話が生まれる誌面づくりを大切にしています。

定常さんは制作を振り返り、こう話してくださいました。「デザインが入ることで、社員それぞれが持っていた想いや会社の歴史が、初めて一つの物語になった気がしました。完成した冊子を見た社員からも、『自分たちの会社を改めて好きになった』『次の世代にも受け継いでいきたい』という声が多く届き、本当に嬉しかったですね。」完成した30周年記念誌と『Hakken!』は、社員だけでなく、取引先や関係者の皆さまからも高い評価をいただきました。それはデザインが美しかったからではなく、企業の理念や文化、人への想いまでが自然と伝わるコミュニケーションになっていたからだと感じています。私たちは、企業の周年記念誌も社内報も、情報を伝えるための媒体ではなく、企業文化そのものを育てるデザインだと考えています。

言葉だけでは伝えきれない哲学を整理し、人の感情が動く体験へと編集する。そして、その積み重ねが企業の未来をつくっていく。宮内沙也加さんの温かなイラスト、30年の歴史、そして『Hakken!』が積み重ねてきた社員一人ひとりの物語。そのすべてが響き合うことで、このプロジェクトは単なる周年施策ではなく、「企業文化を未来へ受け継ぐコミュニケーションプロジェクト」へと昇華しました。歴史には、未来を変える力があります。その力を信じ、企業の物語をデザインという言語で未来へつないでいくこと。それこそが、私たちタイドデザインがこれからも大切にしていきたいクリエイティブの使命です。

30周年という節目と、その日々を支える『Hakken!』というメディアづくりをご一緒できたことを、心より光栄に思います。

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